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男性不妊症 9府県11市、独自に助成 想定の7分の1、利用申請伸びず

 男性不妊症の治療について国の助成制度の利用申請が伸び悩む一方、自治体は独自助成に取り組みつつあることが毎日新聞のアンケートで分かった。不妊に悩むカップルからは「莫大(ばくだい)な費用がかかる現実を含め、男性不妊症をもっと知ってほしい」との切実な声が上がる。費用負担に苦しみながら男性不妊症の治療に取り組んだ2組の夫婦を訪ねた。【酒井祥宏、藤渕志保】

 ◇「夫婦で協力すべきだ」

 「子どもを授かったのは治療のおかげ」。男性不妊症を治療し、妻(38)の不育症も乗り越えて3月に長男が生まれた関東地方の会社員の男性(39)は、約7年間の治療を静かに振り返った。

 男性は関西在住の2010年10月、妻の求めで近所の不妊クリニックで検査し、正常な精子が少ないことが判明した。「男性としての力が失われていると思った」とショックを受けたという。

 12年に関東地方へ転居後、自治体の不妊相談窓口に連絡。男性不妊に携わる泌尿器科の精密検査で、静脈瘤(りゅう)のため精子をつくる機能に影響が出ている可能性があることが分かった。

 手術を受け、自然妊娠に成功。この時は流産したものの「希望がつながった」と夫婦で不妊治療を続け、長男を授かった。交通費がかさみ、妻も治療を受ける必要があって、夫婦の不妊治療の総額は「思い出したくない」ほどかかった。

 男性は「不妊は女性だけの問題ではない。男にも不妊要因があることを認識し、夫婦で協力すべきだ」と強調する。妻は「赤ちゃんを抱きたい一心だった。原因が分かれば夫婦で頑張れる。同じように悩む人も諦めないでほしい」と呼び掛ける。

 ◇地方に少ない専門医

 日本生殖医学会によると、男性不妊症の専門医は4月時点で全国に51人しかいない。関東や近畿に集中しているため、地方在住の患者には通院費や滞在費といった出費がかかる。助成はあるが、例えば無精子症では手術や顕微授精といった治療費で計100万円以上かかり負担が大きい。

 「薬代や交通費がとても重たい。自治体助成が拡充されれば、私たちのような人の支えになる」。夫(33)が無精子症と診断された長崎県の女性(34)はそう期待する。5年間の治療費や通院費の負担は1000万円近くになった。収入のほとんどをつぎ込んできたが子供は授かっていない。

 夫が無精子症と分かった時は「男性にも不妊の原因があり得るなんて。頭が真っ白になった」という。夫は北九州市や大阪市で手術や治療を受けた。夫の手術は3回、女性の採卵は13回に及び、既に助成の上限回数を超えた。「5年も同じ段階をぐるぐる走り続けてきた。資金的、身体的、精神的に限界」。夫婦は治療をやめることも検討している。

 不妊に悩むカップルを支援するNPO法人Fineの松本亜樹子理事長は、国の助成制度について「1回あたりの限度額をなくしたらどうか。初年度の持ち出しがなければ治療に専念できる」と使い勝手の悪さを指摘。自治体にも「検査から治療までトータルの周知に力を入れてほしい」と要望する。松本理事長は「不妊は適切な治療で治る見込みがある。早期の治療開始が妊娠の成功率を上げ、少子化対策にも有効だ」と強調する。

 ◇9府県11市、独自に助成 想定の7分の1、利用申請伸びず

 男性の不妊症治療について、国の助成制度開始から1年になるのを前に、毎日新聞では昨年12月、窓口の都道府県や政令市、中核市の計114自治体に利用申請件数などをアンケートした。

 その結果、昨年4~9月の半年間では、自治体側の年間想定の7分の1程度、約370件にとどまったことが判明。一方、不妊治療で一般的な体外受精と顕微授精では、同じ期間に130倍超の約4万9000件の申請があった。

 2月上旬までに福井県を除く113自治体から回答を得た結果、独自に男性の不妊症患者に直接助成をしていると回答した自治体は9府県11市あった。体外受精、顕微授精では42の都道府県と政令・中核市が独自に助成しており、男性不妊症への助成の倍以上だった。

 自治体の助成内容は国の制度に▽4万~20万円を上乗せ(横須賀、久留米市ほか)▽助成の回数を上乗せ(秋田県ほか)――など。(表参照)

 国の助成は昨年1月から始まり、手術による精子の採取に上限6回で、1回最大15万円を支給する内容。

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 ◇国の男性不妊治療(手術)への助成

精子採取の手術1回につき15万円まで、最大6回まで

<所得制限>夫婦合算で730万円未満

<年齢>治療初日で妻が43歳未満

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 ◇自治体の独自の支援例(2016年度)

 <助成額を上乗せ>

横須賀市(15万円)

香川県、高松市(5万円、2回まで)

大分県、大分市(4万円、初回のみ)

久留米市(5万円、年度初回のみ)

 <回数を上乗せ>

秋田県、秋田市(妻が40歳未満で最大3回まで)

 <所得制限を撤廃>

静岡市、浜松市、高槻市

富山県、富山市(妻が40歳未満で回数制限も撤廃)<所得制限撤廃に加え、助成額を上乗せ>

京都市(1回上限20万円など)

京都府(1回上限20万円に加え最大4回までなど)

 <その他>

新潟県(制限以上の所得がある夫婦に最大7万5000円)

徳島県(凍結保存に1年度1回、3万円まで助成)

宮崎県(凍結精子の融解費用に上限5万円)

高知県(妻の年齢制限撤廃)

高崎市(妻の年齢制限撤廃と交通費助成)

 ※カッコ内は1回の上乗せ助成額や条件など。アンケート回答や自治体への取材から作成

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 ■ことば

 ◇男性の不妊症

 射精がうまくいかない「性機能障害」や、正常な精子が少なかったり、全く見当たらなかったりする無精子症などの「造精機能低下」がある。治療法として薬物療法や精巣内の精子採取の手術などがある。

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