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卵子凍結出産 「温かい家庭、望み」 44歳女性、仕事と両立難しく
「仕事が忙しく、卵子が老化することについて思いが至らなかった。でも、どうしても温かい家庭がほしかったんです」。41歳の時に自分の卵子を凍結して出産した看護師の女性(44)は、毎日新聞の取材に応じ、卵子凍結の決断から出産までの経緯を語った。「産んでよかった」と振り返りつつ、女性が仕事と出産を両立しやすい社会の実現を望んだ。【中西拓司】
女性は早くに父親を亡くし、実家の家計を支えるため「大黒柱」として働いていた。しかしアラフォー(40歳前後)が近づくにつれ「このままでは子どもができない」と思うようになり、友人のアドバイスもあって、卵子凍結を受け付けるクリニックで採卵を始めた。家族そろって食事した記憶がほとんどない女性は「自分の手で、温かい家庭を作りたかった」という。
体質のせいか、1回で採取できる卵子数が少なく、頻繁に通院しなければならなかった。通院時間を工面するため、フルタイム勤務をやめて非正規で働かざるを得なかった。
結婚したのは42歳の時。卵子凍結で出産するには体外受精の必要があるため、男性側の協力が欠かせない。事情を話すと、夫は最初は不安がったが、自分の気持ちを丁寧に説明し、理解してもらった。
そして昨年初夏、女の子を出産。すくすく育ち、今ではつかまり立ちできるようになった。卵子は解凍した結果、壊れている場合も少なくない。「妊娠・出産は気持ちの浮き沈みも多く、支えてくれるパートナーが必要。今では夫との関係も良好になり、本当に産んでよかったと思います」
一方で、女性には「早めに出産することが自然なのかもしれない」との思いもある。「自分も仕事と出産を両立できる環境に恵まれていたら、もっと早く産めたかも……」と胸の内を語った。
出典:毎日新聞社